[優秀賞]
北村啓人|Fenêtre series
岩手県出身
村上滋郎ゼミ
1621×1303×60mm
パネル、油彩、アクリル
村上滋郎 専任講師 評
クールな性格なようで人懐っこく、嬉しいときは素直に喜ぶ可愛げもある性格は、作品の中に見え隠れする。作品の質の高さはもちろん、展示の見せ方へのこだわりこそが彼の真骨頂として華やかなスケール感が見応えのある仕上がりとなった本作。ストイックさの中にも遊び心が所々に表出している。?
彼がつくる作品の魅力は、彼自身の「描くこと」に対する信頼から来ているのだと気づいたのは最近のことだ。幼い頃などの過去の経験や、コンプレックスを乗り越えるために必要だった「描くこと」は、いつの間にか自分だけのものではなくなり、約一年続けている一緒に描いて着て楽しむ「KIRUE」の一ワークショップの活動へと発展させた。自分で作った価値をシェアして楽しむものとして「価値を与え合った」結果、一種のコミニュケーションとして成立するに至っている。?
アートやファッション、纏うという行為など、異種を掛け合わせることでファッションの拡張を試みる北村の強いエネルギーは、前述の「描くこと」への信頼に裏付けられている。今回の作品も、意外なアイテムを支持体にするなど、予想を裏切るアイデアで楽しませてくれてる素晴らしいショーになるだろう。?
ファッションにおいて、価値も流行もめまぐるしく変容していく中、シンプルに絵を描いた服を着る「KIRUE」が今後どのように展開できるのか楽しみだ。アートとファッションの新しい可能性の拡張を期待している。?