歴史遺産学科Department of Historic Heritage

菊池悠|伝統芸能のwebを用いた発信のあり方 ―岩手県の神楽を対象として―
山形県出身
志村直愛ゼミ

 岩手県には数多くの伝統芸能が現在でも伝承されているが、その中でも鹿踊、剣舞に次いで多く残されているのが神楽である。
 岩手山、姫神山、早池峰山の三山は霊峰として古来より信仰の対象であり、多くの山伏が活動していた。そのため、現在でも岩手県には山伏が伝えたとされる山伏神楽が多く伝承されており、ユネスコの無形文化遺産に登録されている花巻市の早池峰神楽なども山伏神楽に分類される。さらに、修験道系の山伏神楽とは異なる神楽として、神道系の神楽である神風(みやぶり)神楽や、狂言風の神楽である科白(せりふ)神楽も岩手県に伝わる神楽の分類として挙げられる。
 しかしこうした岩手県内の神楽について、その継承や活用のために情報や価値を発信する活動はどれほど行われているのだろうか。神楽の奉納や公演が行われる機会は限られており、その場に足を運んで鑑賞する以外で神楽に触れる方法はまだ少ない。また、神楽の価値を伝えるには受け取る鑑賞者の側にも演目の内容や面の表す役柄などの前提となる知識が必要である。
 一方、現代はインターネットの普及により広範囲かつ多数への発信が容易になっている。手軽な発信手段であるSNSの普及や、動画や音声による発信が可能になったことも大きな変化であり、舞や音楽を重要な要素とする神楽のような民俗芸能の発信も行いやすくなっている。このような状況の中、各神楽の保存会や活動を行っている地元の行政はどのような発信を行っているのだろうか。
 本研究は、岩手県に伝承されている神楽を対象とし、①保存会の行っている取り組みと、②行政の行っている取り組みの二面から、それぞれの web における情報開示の状況を明らかにするものである。