[最優秀賞]
吉田ひなの|虎威
北海道出身
青山ひろゆきゼミ
3000×8000mm 綿ロール、油彩、アクリル
青山ひろゆき 教授 評
私たち日本人が虎を描いた歴史は古く飛鳥時代の高松塚古墳やキトラ古墳の白虎図からはじまり、名だたる絵師が未知の存在の虎に魅了され描いてきた。近代では大橋翠石が有名だ。翠石は虎の絵で1900年のパリ万博において日本人画家として唯一の最高賞を受賞している。吉田さんの描く動機も翠石と同様に、虎という存在の魅力にほかならない。大学入学以前から多くの動物を描いてきた。しかし、進学後は、多様な美術のあり方や価値を学ぶ中で、公共性や根拠など思考の高まりに相対して、表現が萎縮していく感覚に悩んでいた。描きたいものを思いっきり描くという原点に立ち戻ったのは3年生後期からであった。高校当時の彼女の絵画は躍動的な筆致で生き生きと動物を描いていた。くすぶっていた思いを爆発させるかのように、生き物を描き、そして巨大化させていった。虎はその集大成として、巨大なキャンバスですらおさまりきらないスケール感で私たちを圧倒した。尾形光琳の虎図屏風にように画面からはみ出すことで存在感と迫力を高めている。
また、蝶を描いたことによって、虎の本質を示しているように感じる。虎という存在に抱く概念に吉田さんが新たな個性を与えたといえる。
絵画表現の原点に立ち戻り、規格外の圧倒的大きさで描ききった作品は、スマートフォンのモニターでは到底味わえない絵画の醍醐味を十分過ぎるほど体感できる。今後も表現者として必ず活躍していく学生であると信じている。