大学院Graduate School

[優秀賞]
上野晴|見立てるカタチ
坂井直樹ゼミ
陶土、磁土、半磁土


デザイン工学専攻長 酒井 聡 評
 上野晴氏の「見立てるカタチ」は、陶芸を通じて異素材の質感を巧みに再構築し、視覚と触覚のギャップに着目した意欲的な研究である。鉄や木、コンクリートといった身近な素材を陶で再現し、それぞれが持つ錆びや炭化、劣化といった特有の表情を陶の技法で表出することで、新たな視覚体験をもたらしている。特に、既視感と違和感のバランスを探究するアプローチは、単なる模倣にとどまらず、素材本来の魅力を再考させる力を持つ。さらに、粘土の選定や釉薬、焼成方法の調整を重ねることで、陶芸の可能性を拡張しようとする姿勢は、今後の発展にも示唆を与えるものと評価する。今後は、素材へのアプローチ方法の深化や、鑑賞者の体験を考慮した展示方法の工夫も期待される。以上の成果を評価し優秀賞を授与する。